子どもに学ぶことは多い

雑記
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バックパッカーが泊まるようなドミトリーに滞在している。といっても、チリ南部は冬で観光シーズンではないため、客はぼく一人。宿には冬休み中の宿主の息子たちがいて、夜は遊び相手になっている。こどもを観察しながら、自分がこれまでたくさん知って、たくさん忘れてきたなと実感した。彼らに学ぶことは多い。

オフシーズンは、経費削減のために宿主たちもドミトリーで過ごしている。タイミングが合えば3食一緒に食べるので、自然と距離は近くなる。小学生の坊主が二人と、中坊が一人。みんな空手をやっている。ドミトリー経営の家族だからか、どの子もみんな外国人であるぼくにも物怖じしない(ただ、何食べてるの?と聞いても「食べ物」という超シンプルな答えが返ってくる)。特に二番目で9歳のホセ・マリア(両方名前)は折り紙が好きらしく、どこで手に入れたか分からない正方形の色紙を持ってきて、教えてくれとせがんだ。

ツルに始まり、カメ、カエル、トド、手裏剣、メンコ。端から調べて折っていく。でもホセがどうしても折りたかったのはドラゴン。諦めが悪く、「次何折る?」と聞いては毎回「ドラゴン!」とちょっと考えてから希望してきた。

ホセの折り紙は、ドラゴンを折るにはどうにも小さい。そこで、先週買った日刊紙「EL LLANQUIHUE(エル・ジャンキウエ)」で正方形の紙を作り、それでドラゴンを折ることにした。名付けて「ドラゴン・ジャンキウエ」。「めっちゃ難しいから、かなり辛抱しないとだめだよ、できる?」と2、3度念を押した。膨らんだホッペにキュッと口をつぐんだ、マリオの相棒・ヨッシーみたいな顔をしたホセは、コクコクと元気に頷いた。

ホセは想像以上に、辛抱強く折り紙に取り組んだ。10分かけて折った紙を、全て開く工程では「間違えたんだでしょ!」と疑って落胆したが、その複雑性自体を楽しんでいた。「よく見てな」といえばよく見る、それが終われば「次は反対側もでしょ?」と先回り。ホセは自分一人でドラゴンを作れないことも素直に分かっていた一方で、極力自分で全て折りたいと一所懸命になった。結局、彼は最後まで折り紙に熱中し、夜10時にドラゴンを作り終えた。1時間弱は費やしたんじゃないだろうか。就寝前、誰もいない7畳の部屋の、二段ベッドの下の段で「彼には見習うべきところがたくさんあったな」と折り紙に熱中するホセを思い浮かべた。

というのも最近、集中力が欠けてきている。プエルトモントにほど近いチロエ島とサーモン養殖産業の関係について調べているが、身が入らない。チリの学者が書いたスペイン語の論文は、1時間も読まないうちに飽きてしまう。ホセのように複雑性を楽しみ、無知を自覚し、取り組む行為に主体性を込めなければ、論文なんて読んだって仕方がない。タイトルやアブストを読み終えて、何となく内容が掴めてしまったからなのか、そもそもそこまで興味がないのか(それはないと思うけど)、何かに迷っているのか。原因は不明だけれど、今日から何かに取り組むときにはホセの姿を思い返してみるとする。

こうしてnoteを書きながらホセを観察していると、どうやら飯に集中するのは苦手なようだ。飽きたら徹底的に飽きる。そんなのも、まぁいいのか。

朝飯を食べ終えたホセ・マリアが「ドラゴン・ジャンキウエ」を自分の部屋から持ってきた。彼はやっぱり、折り紙が、ドラゴンが好きなのだ。

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